トイレは住宅の中でも使用頻度が高く、水回りのため、劣化しやすい傾向にあります。そのため、トイレのリフォームを考えている方も少なくないはずです。
トイレのリフォームは、本体の付け替えで10万円〜20万円、バリアフリー化で5万円〜15万円、温水洗浄便座への交換で3万円〜10万円程度の費用が発生します。
リフォームの費用を抑えるためにも、助成金制度を上手に活用する必要があります。
そこで、本記事では、トイレをリフォームをする際に活用できる助成金制度について詳しく解説します。
記事の中では、助成金を使用する際の注意点についても解説しているので、これからトイレのリフォームをしようと考えている方は最後までご覧ください。
トイレリフォームで活用できる助成金
トイレのリフォームの際に使用できる助成金制度には主に以下の4つがあります。
- 子育てグリーン住宅支援事業2025
- 長期優良型住宅化リフォーム推進事業
- 介護保険による住宅改修費の支給
- 各地方自治体が独自に提供している助成制度
子育てグリーン住宅支援事業2025
子育てグリーン住宅支援事業2025は、2050年までにカーボンニュートラルを実現するために省エネ性能の高い住宅の建築や省エネ性能の高い住宅にするためのリフォームを支援するための助成金制度です。
子育てグリーン住宅支援事業はリフォームも対象となっていますが、助成を受けるには条件があり、「必須工事」とされる以下の3つの工事のうち、2種類以上を行う必要があります。
- 開口部(窓やドア)の断熱性能向上のための工事
- 躯体(壁・床・天井)の断熱改修
- エコ住宅設備(節水型トイレや高効率給湯器など)の設置
トイレのリフォームは3番目のエコ住宅設備の設置の中に含まれているため、残り2つの工事のどちらかを加えてリフォームした場合に限り助成金を受けられる対象となります。
助成金の支給額は、工事内容によって以下の通り異なります。
- 必須工事を2つ実施:最大40万円/戸
- 必須工事すべてを実施:最大60万円/戸
ただ、助成金を受けるためには、工事の合計金額は5万円を超えないといけないため注意が必要です。
子育てグリーン住宅支援事業の申請期限は2025年12月31日までですが、予算が無くなった時点で終了となるため、確認が必要です。
また、申請するには、施工前に事務局に登録された登録事業者が申請書類を提出しなければならないので、事業者選びも重要となります。
長期優良型住宅化リフォーム推進事業
長期優良型住宅化リフォーム推進事業は、既存の住宅をリフォームして寿命の長期化や省エネ性能の向上を支援するための助成金制度です。助成金の限度額は、以下の2つに分けられます。
- 性能の向上を目的としたリフォームは最大80万円/戸
- 長期優良住宅認定を取得するためのリフォーム最大160万円/戸
トイレのリフォームだけでは長期優良型住宅化リフォーム推進事業の対象となりませんが、以下のような場合には助成金を受けられる可能性があります。
- 三世代で同居するためにトイレを追加設置する場合:上限30万円
- 子育て中の家庭で、育児しやすいようトイレ空間を広げたり設備を更新する場合:上限30万円
- 高齢の家族に配慮し、手すりを取り付けたり段差をなくすバリアフリー工事:費用の1/3を助成(上限80万円)
住んでいる家族の状況により長期優良型住宅化リフォーム推進事業の対象となる場合があるため、リフォームする前に確認しておく必要があります。
なお、この助成制度は「事務局に登録された事業者」による申請が必要です。業者選びも重要なポイントとなります。
申請期限は2025年1月までとなっていますが、予算が上限に達すると終了となるため、事前に確認しておく必要があります。
介護保険による住宅改修費の支給
介護保険には、要支援・要介護の認定を受けた方の暮らしをサポートするため、自宅をバリアフリー仕様に改修する費用の一部が助成される仕組みがあります。
要介護や要支援認定を受けた家族がトイレを使用する際に、手すりを設置したり、便座を高くしたりするなどのリフォームをした場合、最大20万円の助成金が出ます。対象となる工事には以下のような内容が含まれます。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 洋式トイレへの変更
- 引き戸への変更
基本的には、要介護認定を受けてから一人一回しか使えないため、慎重にリフォームをする必要があるでしょう。
各地方自治体が独自に提供している助成制度
トイレのリフォームの助成金制度には、全国で使える制度とは別に自治体別に制定している助成金制度があります。例えば、エリアは限定されますが以下のような自治体別の助成金制度があります。
- 兵庫県神戸市:住宅改修助成事業
- 大阪府大阪市:高齢者住宅改修費給付事業
- 埼玉県川口市:水洗便所改造資金補助制度
これらの制度は市区町村ごとに内容や対象条件が異なるため、自分の住んでいる地域にどのような支援制度があるのか、リフォームを進める前に自治体の窓口やホームページで確認しておくことが重要です。
トイレのリフォームで助成金を使う際の注意点
トイレのリフォームの際に助成金を使用する際には、注意点を意識しておく必要があります。注意点を把握しておかないと、助成金が使用できなくなる可能性があるためです。
トイレのリフォームの際に把握しておくべき注意点は、主に以下の5つがあります。
- 工事を始める前に助成金の申請が必要か確認する
- 自分のケースが助成対象になるかを調べる
- 住んでいる地域で利用できる助成制度があるかを調査する
- 他の助成制度と重ねて使えるか確認する
- 助成金申請に対応できる施工業者かどうかを見極める
工事を始める前に助成金の申請が必要か確認する
トイレの改修工事で助成金を活用したいと考えている場合は、リフォーム工事を開始する前にその制度が利用できるか確認しなければなりません。
というのも、ほとんどの助成制度では「着工前の申請」が必須となっており、リフォーム後や工事途中で申請しても対象外となるケースが非常に多いのです。
リフォーム完了後やリフォーム中に申請しても、助成金が出ない場合がほとんどのため、必ずリフォーム工事を始める前に申請するようにしてください。
自分のケースが助成対象になるかを調べる
トイレの改修工事で助成金を申請する場合は、その制度の対象となるリフォーム内容かどうかを事前に確認しておきましょう。
トイレのリフォームが完了した後で、条件に合っていなかった場合には助成金を受けられなくなる可能性があるためです。
希望する助成制度の要件と、実際に行うリフォームの内容をあらかじめ突き合わせて、助成金が受けられるかを事前に確認してから進めましょう。
住んでいる地域で利用できる助成制度があるかを調査する
トイレのリフォームを検討する際は、国の助成金制度だけでなく、お住まいの地域で実施されている支援制度も確認しておきましょう。
全国共通の助成金が対象外であっても、市区町村が独自に設けている助成制度が使える場合もあるため、自治体のホームページ等で使える助成制度がないかを確認してください。
他の助成制度と重ねて使えるか確認する
トイレのリフォームを検討しているなら、利用可能な補助金を1つに絞るのではなく、複数の制度を組み合わせて使えるかを事前に調べておくことが大切です。
例えば、子育てグリーン住宅支援事業の助成金と自治体の助成金制度は併用できる可能性があります。
ただし、国の補助制度同士は同時に使えないことが一般的なので、各制度の適用条件や組み合わせの可否について、条件を確認しておきましょう。
助成金申請に対応できる施工業者かどうかを見極める
トイレのリフォームで助成金制度を使用する場合には、業者選びが重要です。多くの助成制度では、申請には事務局に登録された業者であることが条件となっているためです。
そのため、見積もりを取る時点で、業者が登録業者として実績があるかどうかを確認しておきましょう。また、適正な価格を知るためにも、3社以上の業者に見積もりを取って比較するのも注意点の一つです。
名古屋のトイレリフォーム助成金制度
全国で使用できる助成金制度以外にある自治体別の助成金も上手に活用したいところです。名古屋にも以下の2つの補助金制度があります。
- 名古屋市障害者住宅改造補助金
- 名古屋市空き家活用支援事業費補助金
それぞれの助成金制度について詳しく解説します。
名古屋市障害者住宅改造補助金
名古屋市障害者住宅改造補助金は、名古屋市に住んでいる障害がある人が住みやすい住宅を作るためにリフォームを行う際に利用できる助成制度です。対象者は、以下の4つに当てはまる人です。
- 身体障害者手帳を持っている人
- 愛護手帳を持っている人
- 精神障害者保健福祉手帳を持っている人
- 医師に自閉症状群と診断された人
これらの方が住む住宅の改修工事に対して、最大で80万円の助成が受けられます。
補助対象となる主な工事は、トイレの洋式化や手すりの設置、浴室のバリアフリー化、居室の改修などです。
名古屋市障害者住宅改造補助金もリフォーム工事を開始する前に申請しなければならないため注意が必要です。
名古屋市空き家活用支援事業費補助金
名古屋市空き家活用支援事業費補助金は、名古屋市内にある空き家の活用を促進するための助成制度です。空き家を所持している人が、地域活性化のために空き家を改修する際に補助金が支給されます。
助成の対象となる改修の目的には、交流施設の整備や体験学習施設、文化施設の設置などが含まれます。
補助金は工事費用の3分の2まで支給され、上限は100万円となっています。トイレだけでなく、キッチンや浴室、洗面所の改修工事も助成対象です。
ただし、一般住宅の通常リフォームでは適用されないため、要件を満たしているかを十分に確認しておきましょう。
まとめ
今回は、トイレをリフォームする際に使用できる助成金制度について詳しく解説しました。
トイレをリフォームする際には、子育てグリーン住宅支援事業や介護保険など全国どこでも使える助成金制度に加えて、それぞれの自治体で使える助成金制度があります。
それぞれの助成金制度には、使用できる条件があるため、上手に利用するためには助成金制度の内容を十分に把握しておかなければなりません。
また、助成金制度を使用する際には、事務局に登録されているリフォーム業者を選ばなければならない場合がほとんどのため、業者選びは重要です。3社程度の業者から相見積もりを取り、適正な価格を把握しておきましょう。
今回の記事で紹介した助成金制度を上手に活用して、コストを抑えつつ、利用しやすいトイレにリフォームしてください。