REFORM COLUMN

防犯フィルムは意味がないのか?本当に効果的な防犯対策も紹介

2025.08.18

住宅の防犯性能を高めるために、手っ取り早く防犯フィルムを採用する人も少なくないはずです。防犯フィルムは、他の防犯よりもコストが安く、窓ガラスに貼り付けるだけなので、採用しやすい傾向にあります。

しかし、ネットや口コミを調べると「防犯フィルムは効果が薄い」といった意見もよく耳にします。

防犯フィルムは、窓に貼り付けて、ガラスを割りにくくすることで、侵入するまでの時間を伸ばす効果がある一方で、侵入を完全に防ぐわけではないので、意味がないとされています。

本記事では、防犯フィルムがそうした評価を受ける理由を詳しく説明するとともに、より実効性の高い防犯策についてもご紹介します。

犯罪が増えつつある昨今で、より防犯性能を高めたいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

防犯フィルムが意味ないと言われる理由

防犯フィルムが意味がないと言われている理由には、主に以下の3つがあります。

  • フィルムだけで侵入を完全に阻止できるわけではない
  • 市場に低品質で安価な製品が多く出回っている
  • 窓以外にも侵入できる経路が存在する

フィルムだけで侵入を完全に阻止できるわけではない

防犯フィルムはポリエステルなどの高強度素材で構成されており、窓ガラスに貼り付けることで破壊時の飛散を防ぎ、ガラスが貫通されるまでの時間を延長します。これにより、侵入者は工具を使っても短時間で突破できず、犯行を諦めたり周囲に気づかれる可能性が高まります。

しかし、物理的な耐性には限界があり、時間をかければ突破されてしまうのが現実です。特に熟練した侵入者や複数の侵入手段を持つ場合、防犯フィルム単独では十分な抑止力とはなりません。

市場に低品質で安価な製品が多く出回っている

防犯意識の向上に伴い、住宅用から業務用まで幅広い種類の防犯フィルムが販売されています。製品の中には、防犯性能試験を通過し、日本防犯設備協会が定める基準を満たした証である「CPマーク」が付与されている高品質なものも存在します。これらは一定の侵入抑止効果が確認されており、信頼性の高い製品といえます。

一方で、市場には価格を抑えた簡易タイプの防犯フィルムも多く出回っています。これらは十分な性能評価が行われていない場合が多く、見た目は似ていても耐久性や侵入遅延効果が大きく劣るケースがあります。

空き巣被害は必ずしも発生するとは限らないため、「コスト優先」でこうした低性能フィルムを選択してしまうと、結果的に防犯効果がほぼ得られない可能性があります。

そのため、防犯フィルムの導入効果を正しく得るには、認証マークの有無や性能試験の結果を確認し、品質の確かな製品を選定することが不可欠です。

窓以外にも侵入できる経路が存在する

防犯フィルムは窓ガラスの破壊を遅らせる性能を持ち、侵入者に時間的な負担を与える有効な手段の一つです。

しかし、住宅への侵入は窓からに限らず、玄関ドアの錠前破壊や勝手口のこじ開けなど、複数の経路が存在します。実際の侵入事件では、窓を強化しても別の弱点を突かれるケースが少なくありません。

そのため、防犯フィルム単体では空き巣被害を完全に防止することは困難であり、補助錠やドアの強化、センサー式警報装置などとの組み合わせによる多層防御が推奨されます。

防犯フィルムの効果

防犯フィルムを窓ガラスに貼り付けると、さまざまな機能的メリットがあります。 ただし、その効果を正しく理解したうえで導入を判断することが重要です。代表的な性能としては以下の4点が挙げられます。

  • 侵入時間の遅延
  • ガラス破片の飛散防止
  • 地震や台風時の安全性向上
  • 断熱による省エネルギー効果

侵入時間の遅延

防犯フィルムの代表的な機能の一つは、侵入者が住宅内へ侵入するまでの時間を稼ぐ「侵入遅延効果」です。

侵入者、特に空き巣は迅速な侵入を狙って行動するため、窓ガラスの破壊に時間を要すると、犯行を断念する可能性が高まります。さらに、フィルムによってガラスの破損に時間がかかることで、近隣住民や通行人に発見されるリスクが増加し、抑止力としても効果的です。

このように、侵入遅延は空き巣対策において重要な防犯手段の一つとされています。

ガラス破片の飛散防止

防犯フィルムの重要な機能の一つに、ガラス破損時の飛散防止効果があります。フィルムを貼っていないガラスが割れると、破片が周囲に飛び散り、けがのリスクが高まります。

一方、防犯フィルムが施工されている場合、ガラス破片がフィルムに密着するため、散乱を抑え安全性が向上します。また、台風や強風時に飛来物が窓ガラスを破損した際にも、飛散防止機能が二次被害の軽減に寄与することが確認されています。

地震や台風時の安全性向上

防犯フィルムは、防災面でも一定の効果を発揮します。具体的には、台風などの強風時に飛来物が窓ガラスに衝突しても、フィルムが貼られていることでガラスの破損を抑制できます。

仮にガラスが割れてしまった場合でも、フィルムが破片をしっかり保持するため、飛散による怪我のリスクを大幅に減少させます。さらに、地震の揺れによる窓ガラスの破損にも効果的で、住宅の倒壊や傾きによって生じる衝撃からガラスを守り、安全性を高める役割を果たします。

断熱による省エネルギー効果

高性能な防犯フィルムを導入することで、省エネルギー効果が期待できます。

窓ガラスは住宅の外気温の影響を最も受けやすい箇所ですが、防犯フィルムを貼ることで断熱性が向上し、室内の温度変化を抑制します。しかしながら、防犯フィルム単体では断熱効果に限界があるため、窓ガラス自体の性能向上も併せて検討することが重要です。

高機能ガラスとの組み合わせにより、より効果的な省エネ対策が可能となります。

防犯フィルムより効果的な防犯対策

防犯フィルムは先述のようにさまざまな効果がある一方で、防犯性能としては十分とは言えず、「効果が限定的」と評価されることもあります。そのため、住宅の防犯レベルをしっかりと向上させたい場合は、他の対策も併せて検討することが推奨されます。住宅の防犯性能を高める対策には、主に以下の6つがあります。

  • 防犯ガラスへの交換
  • 鍵の追加
  • 面格子やシャッターの導入
  • 防犯カメラの設置
  • 外構の工夫
  • 窓以外への防犯対策

防犯ガラスへの交換

住宅への侵入は、窓ガラスを割って入る場合が多いため、割れにくい防犯ガラスへ交換すると防犯性能を高められます。

防犯ガラスは、2枚ガラスの間に特殊な樹脂製の中間膜を挟み込んで、ガラスを割りにくくして、侵入に時間が掛かるようにします。中間膜の厚さは1.52mm以上のものを採用すると防犯性能が高いとされているため、参考にしてください。

中間膜に挟み込む素材をより強固なものを採用した場合には、ハンマーでも割りにくくなる防犯ガラスもあるため、予算に合わせて選ぶと良いでしょう。

鍵の追加

窓には通常、中央に鍵が一つ付いているだけなので、簡単に開けられてしまいます。そのため、中央の鍵以外にも窓の上部や下部に補助錠を追加しておくのも方法の一つです。

補助錠には簡単に付けられるストッパータイプから専門業者に取り付けてもらう必要がある面付タイプがあります。専門業者に依頼する補助錠の方が防犯性能が高いため、予算に合わせて選択しましょう。

面格子やシャッターの導入

より窓からの侵入を防ぎ防犯性能を高めたい場合には、面格子やシャッターを導入するのも方法の一つです。

面格子やシャッターを窓の外側に設置すると、窓からの侵入はほぼ完全に防げます。特に一目に付きにくい窓がある場合には面格子やシャッターを設置しておくと安心です。

面格子やシャッターを導入する場合には、15万円程度の費用が発生するため、十分に検討する必要があります。

防犯カメラの設置

住宅の防犯性能を高めるためには、防犯カメラの設置が効果的です。実際に犯行現場を撮影できるだけでなく、防犯カメラを侵入者から見える場所に設置すると侵入を諦める可能性があります。

また、本物の防犯カメラではなく、偽物の防犯カメラでも侵入者への威嚇となります。

人の目が付きにくい住宅の裏側などに防犯カメラを設置すると防犯性能を高められるので設置場所も十分に検討しておく必要があります。

外構の工夫

住宅の防犯性能を高める場合には、外構の工夫は必須です。外構を工夫して、いかに侵入しにくい住宅にするかで防犯性能は変わるためです。

防犯性能を高める外構の工夫には、人が歩くと音がなりやすくなる防犯砂利の採用や植木の手入れにより、周りから見えやすい環境を作るなどが挙げられます。

外から見て侵入しにくいと侵入者に思わせるだけでも防犯となるため、外交にも気をつけるようにしましょう。

窓以外への防犯対策

住宅の防犯性能を高める場合には、窓の強化に目が行きがちですが、他の侵入経路にも対策が必要です。特に、玄関ドアや勝手口のドアには防犯対策をしておかなければなりません。

玄関や勝手口のドアの鍵を2ロック式にしたり、ドア枠との隙間を無くすためのドアガードプレートを設置したりなどが挙げられます。

窓だけでなく、玄関や勝手口のドアの対策も忘れないようにしておきましょう。

まとめ

今回は、防犯フィルムが「意味がない」と言われる背景やその実際の効果について解説しつつ、本当に効果のある防犯対策を紹介しました。

防犯フィルムが十分な防犯効果を発揮しにくい理由として、まず侵入そのものを完全に阻止できないこと、そして窓以外の侵入経路が存在することが挙げられます。加えて、市場に出回る低価格で品質の保証されていないフィルム製品も、効果の低下を招く要因となっています。

住宅の防犯性能を高めるためには、防犯フィルム単体に頼るのではなく、防犯ガラスや面格子などの強化策と組み合わせる必要があります。また、窓以外の侵入経路である玄関や勝手口のドアにも対策が必要です。

住宅の防犯性能を高めるためには、DIYだけでは難しいためリフォーム業者に依頼する方法が一般的です。リフォーム業者であれば、防犯性能を高めるための方法についての知識も豊富なため適切なアドバイスが受けられます。

リフォーム会社のニノスでも、防犯性能を高めるためのリフォームを請け負っているので、これから住宅の防犯性能を上げたいと思っている方は、ぜひ一度ご相談ください。