住宅のリフォームをする際には、リフォーム代が高額になる場合が多いため、助成金制度を賢く利用することが重要です。
国や自治体ではさまざまな補助制度を用意しており、その一つに「子育てグリーン住宅支援事業」があります。この制度でも、一定の条件を満たすリフォームに対して金銭的な支援を受けることが可能です。
しかし、すべての工事が対象になるわけではなく、内容によっては補助の適用外となるケースもあるため、事前に概要を理解しておく必要があります。
そこで、本記事では、子育てグリーン住宅支援事業の概要や申請時のポイントについてわかりやすく解説します。
1.子育てグリーン住宅支援事業とは?
子育てグリーン住宅支援事業とは、国が掲げる2050年のカーボンニュートラル実現を目指して、子育て世代や若者夫婦を中心に省エネ性能の高い住宅の取得やリフォームを支援する制度です。
新築の購入への支援だけでなく、リフォームにより断熱性能を上げるなどの省エネ対策をするリフォームにも交付されます。ただし、すべてのリフォームが対象となるわけではない部分に注意しておく必要があります。
また、本制度の申請期限は2025年12月31日までと決まっているため、余裕を持ったスケジュールでリフォーム計画を立てることが求められます。
2.対象となるリフォーム工事の内容
子育てグリーン住宅支援制度では、補助金の対象となる工事が2種類に分かれています。補助を受けるために必ず行う必要がある「必須工事」と、必須工事と組み合わせることで対象となる「任意工事」です。
どの工事が該当するのかを把握しておかないと、補助が受けられなくなる可能性があるため、工事内容について詳しく解説します。
必須工事
子育てグリーン住宅支援制度における必須工事には、以下の3つがあります。
- 開口部の断熱改修
- 躯体の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
これらの工事をすべて実施するか、あるいは2種類を組み合わせて行うかによって、受け取れる金額が異なります。
1.開口部の断熱改修
開口部の断熱改修とは、住宅の窓やドアの断熱性能を上げるための改修工事を指します。開口部の断熱性能を上げると熱エネルギーが逃げにくくなり、快適な室温を保ちやすくなります。開口部の断熱性能を上げるためには、以下のような工事があります。
- 複層ガラスなどへの交換
- 内窓の設置
- 外窓の交換
- 高断熱仕様のドアへの変更
なお、子育てグリーン住宅支援制度を申請するには、指定された製品を使う必要があります。対応商品は事前にホームページを確認しておきましょう。
2.躯体の断熱改修
躯体の断熱改修とは、住宅の外壁や壁、天井や床の断熱材を交換したり、追加したりして省エネ性能を上げるための工事を指します。躯体の断熱改修には、以下のような工事があります。
- 外壁に断熱材を追加する
- 壁の内側に断熱材を追加する
- 屋根や天井に断熱材を追加、交換する
- 床下に断熱材を敷く
- 基礎断熱工事をする
断熱材についても製品が指定されているため、事前に調べておく必要があります。
3.エコ住宅設備の設置
エコ住宅設備の設置は、住宅の省エネ性能が高くなる設備を設置した場合に補助金が出ます。対象となる主な工事内容は以下の通りです。
- 節水型トイレへの変更
- 断熱性能の高い浴槽への変更
- 太陽光システムの設置
- エコキュートなどの高効率給湯器への変更
- 蓄電池の設置
- 節水型水栓への変更
それぞれの工事で採用する設備はJISで規定された製品を使わなければならないため、製品選びには注意が必要です。さらに、設置する設備によって受けられる補助が異なるため、事前にホームページで確認しておきましょう。
任意工事
任意工事とは、必須工事を2種類以上実施したうえで追加で行うことで、補助対象となる工事を指します。これらの工事は単独では補助対象とならないため、必須工事との組み合わせが必要です。任意工事には、以下の4つがあります。
- 子育て対応改修
- 防災性向上改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
子育て対応改修
子育て対応改修とは、子育て世帯が子育てがしやすくなるような環境にするためにリフォームしたり、家事の負担を減らしたりするためにリフォームする工事を指します。子育て対応改修には、以下のような工事が含まれます。
- ビルトイン食洗機の導入
- 浴室乾燥機の導入
- 宅配ボックスの設置
- 防犯性の高い窓やドアへの変更
- 遮音性の高い窓やドアへの変更
- 対面式キッチンへのリフォーム
製品は指定のものがあり、工事別に補助に違いがあるため、事前にホームページで確認しておきましょう。
防災性向上改修
防災性向上改修とは、台風や地震、水害などの自然災害に備えて設備を整えたり、構造を改善する工事を指します。防災性向上改修には、以下のような工事が含まれます。
- 強化ガラスや合わせガラスへの変更
- 耐震補強工事
- 家具の転倒防止対策
- 床下換気口への止水板設置
- 防火性能の高いサッシの設置
防災性向上改修の中でも、窓は指定の製品があるため、事前の確認が必須です。また、変更するガラスのサイズや数によって補助に変更があるためホームページで確認しておきましょう。
バリアフリー改修
バリアフリー改修は、高齢者や障害者が安全に生活できるように設備を整える工事を指します。バリアフリー改修には、以下のような工事が含まれます。
- トイレや浴室などに手すりの設置
- 段差の解消
- 廊下幅の拡張
- 転倒時のために衝撃緩和畳の設置
バリアフリー改修で使われる製品については、衝撃緩和畳のみ指定の製品を使う必要があります。バリアフリー改修は、介護保険でも補助が出るため、どちらを利用した方が良いかを比べておく必要があるでしょう。
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置は、事務局に登録された室内の空気を清潔に保てるエアコンに変更した場合に補助が受けられます。対象となるエアコンについては、購入前にホームページで確認しておきましょう。
また、エアコンの冷房能力により補助も変わるため、エアコンを選ぶ前に確認が必要です。
3.リフォーム補助額
子育てグリーン住宅支援制度では、実施する必須工事の数によって補助金の上限が異なります。
- 必須工事3種類すべてを実施で最大60万円/戸
- 必須工事2種類実施で最大40万円/戸
上記の条件に加えて、対象工事の合計費用が5万円以上でなければ申請することができません。
4.申請の流れ
子育てグリーン住宅支援事業を申請する際には、以下の4ステップが必要です。
- 1.工事内容の計画を立てる
- 2.登録された施工業者と契約を結ぶ
- 3.必要書類を提出する
- 4.補助金交付の決定を受ける
工事内容の計画を立てる
申請する前には、まずどのようなリフォームにするかの計画が必要です。この制度では、必須工事を2種類以上実施しなければ補助金の対象にならないため、どうしても大規模なリフォームになりやすいためです。
任意工事だけでは補助金が受けられないため、断熱性能を高める工事などの必須工事と組み合わせるなど事前の工事計画が必要です。
登録された施工業者と契約を結ぶ
工事計画を立てたら、リフォーム業者との契約が必要です。
子育てグリーン住宅支援事業の補助金を受けるためには、事務局に登録された業者と契約する必要があるため、見積もりをとる前に登録業者かどうかを確認しておく必要があります。登録業者と契約したら、その後の手続きは業者が行うため、適宜確認をするようにしておきましょう。
必要書類を提出する
申請する際には、以下のような書類が必要です。
- 交付申請書
- 共同事業実施規約
- 契約書
- 工事前の写真
- 性能証明書
- 納品証明書
- 施工証明書
子育てグリーン住宅支援事業の補助金を受けるためには、工事前でなければならないため注意が必要です。
補助金交付の決定を受ける
書類を提出して、交付が決定すると登録業者に交付決定通知書が届きます。交付決定通知書が届いたら工事を開始し、工事が完了したら完了報告書類を提出します。その後、事務局で審査され、補助金が交付されます。
5.まとめ
今回は、子育てグリーン住宅支援事業の概要と対象の工事内容、補助金額について詳しく解説しました。
子育てグリーン住宅支援事業は、お金が必要となる子育て世代を主な対象とした補助金制度で、省エネ住宅の取得を促すための事業です。リフォームで補助を受けるには、必須工事を2種類以上行う必要があるため、その点には十分注意してください。